事業承継の進め方ガイド|後継者と考える引継ぎ、コスト対策まで徹底解説!

事業承継の進め方ガイド|後継者と考える引継ぎ、コスト対策まで徹底解説!

「事業承継の準備って、何から始めればいいか分からない!?」そんな悩みをお持ちではありませんか?

この記事では、事業承継の基礎知識から後継者の選び方円滑な引継ぎを実現するためのステップコスト対策まで、具体的な方法を分かりやすく解説します。

事業承継を成功に導くためのロードマップとして、ぜひご活用ください。

M&A PMI AGENTは上場企業・中堅・中小企業の「M&AからPMI支援までトータルサポート」できるM&A仲介会社です。詳しくはコンサルタントまでお気軽にご相談ください。

M&A・PMI支援のご相談はこちら

1. 事業承継とは何か? 1.1 事業承継の定義 事業承継とは、会社経営の責任や権限を後継者に引き継ぐことを指します。後継者は親族、従業員、あるいは第三者など、誰に引き継ぐかによって、そのプロセスや必要な手続きが異なります。

単に経営者の座を譲るだけでなく、会社の歴史や経営ノウハウ、顧客との信頼関係、従業員の雇用など、様々な要素を引き継ぐことが重要となります。

1.2 事業承継の重要性
icon
日本では、多くの企業が中小企業で構成されており、地域経済や雇用を支える重要な役割を担っています。しかし、経営者の高齢化が進み、後継者不足が深刻化しています。
事業承継がスムーズに行われないと、廃業に追い込まれる企業が増加し、経済活動の停滞や雇用喪失などの社会問題に繋がることが懸念されています。

また、長年培ってきた技術やノウハウが失われる可能性もあります。事業承継は、企業の存続と発展、そして日本経済の活性化のために非常に重要な課題と言えるでしょう。

メリットデメリット
  • 円滑な経営の引継ぎが可能
  • 従業員の雇用維持
  • 取引先との関係維持
  • 廃業による経済への影響
  • 雇用喪失
  • 技術やノウハウの喪失

2. 後継者の選定 事業承継を成功させるためには、適切な後継者の選定が非常に重要です。後継者選びを間違えると、せっかく長年かけて築き上げてきた事業が途絶えてしまう可能性もあります。 誰に事業を承継させるか、時間をかけて慎重に検討する必要があります。

2.1 後継者の条件
icon
後継者には、経営者としての資質や能力、熱意などが求められます。具体的な条件としては、以下のような点が挙げられます。しかし、経営者の高齢化が進み、後継者不足が深刻化しています。

事業への熱意
経営者としての資質(リーダーシップ、決断力、行動力など)
事業に関する知識や経験
財務管理能力
人材育成能力
コミュニケーション能力
問題解決能力
これらの条件をすべて満たす完璧な後継者を見つけることは難しいかもしれませんが、事業の将来を託せる人材かどうか、総合的に判断することが大切です。

2.2 親族内での事業承継 後継者候補として、まず検討されるのが親族です。子どもや兄弟姉妹など、血縁関係のある人に事業を継いでもらうことを「親族内承継」といいます。

2.2.1 メリット・デメリット 親族内承継には、以下のようなメリット・デメリットがあります。

メリットデメリット
  • 後継者への事業内容や経営方針の理解を得やすい
  • 従業員や取引先からの理解と協力を得やすい
  • 事業承継後も、経営に親族として関与できる
  • 後継者となる親族に経営能力や適性が不足している場合、事業の成長が期待できない可能性がある
  • 親族間の感情的なしこりが、経営に悪影響を及ぼす可能性がある
  • 後継者候補となる親族がいない場合もある

2.2.2 親族内での事業承継の注意点 親族内承継を行う際には、以下の点に注意が必要です。

後継者となる親族の経営能力や適性を客観的に評価する
後継者以外の親族との間で、事業承継に関する十分な話し合いを行い、合意形成を図る
後継者となる親族に対して、経営者としての教育や研修をしっかりと行う

2.3 従業員への事業承継
icon
親族に適切な後継者候補がいない場合、長年会社に貢献してきた従業員に事業を承継させる方法があります。 これは「従業員承継」や「内部承継」などと呼ばれ、近年増加傾向にあります。
従業員承継では、後継者を社内から募集するケースと、特定の従業員を後継者として育成するケースがあります。

2.3.1 メリット・デメリット 従業員承継には、以下のようなメリット・デメリットがあります。

メリットデメリット
  • 事業内容や社内事情をよく理解しているため、スムーズな事業承継が期待できる
  • 従業員のモチベーション向上や人材育成につながる
  • 親族への事業承継と比較して、感情的なしがらみが少ない
  • 後継者となる従業員に、経営能力やリーダーシップが不足している場合、事業の成長が阻害される可能性がある
  • 後継者候補となる従業員がいない場合もある
  • 後継者育成に時間がかかる場合がある

2.3.2 従業員への事業承継の注意点 従業員承継を行う際には、以下の点に注意が必要です。

後継者となる従業員の経営能力や適性を客観的に評価する
透明性のある選定プロセスを確保する
後継者となる従業員に対して、経営者としての教育や研修をしっかりと行う
事業承継の条件やスケジュールを明確にする

2.4 社外への事業承継 親族や従業員に適切な後継者候補がいない場合、社外の人材に事業を承継させる方法があります。社外への事業承継には、主に「M&A」と「第三者承継」の2つの方法があります。

2.4.1 メリット・デメリット 社外への事業承継には、以下のようなメリット・デメリットがあります。
メリットデメリット
  • 事業をスムーズに承継できる
  • 後継者問題を解決できる
  • 事業の成長や発展が期待できる
  • 従業員の雇用を維持できる可能性がある
  • 事業承継にかかる費用が高い
  • 経営方針の違いなどから、事業承継後にトラブルが発生する可能性がある
  • 従業員の雇用が維持されない可能性がある
  • 企業文化や社風が大きく変わる可能性がある

2.4.2 社外への事業承継の注意点 社外への事業承継を行う際には、以下の点に注意が必要です。

信頼できる専門家(M&Aアドバイザー、弁護士、税理士など)のサポートを受ける
事業承継の条件やスケジュールを明確にする
従業員への丁寧な説明と理解を得るための努力をする
事業承継後のリスクを理解しておく

2.4.3 M&A
icon
M&Aとは、Mergers and Acquisitionsの略で、日本語では「企業の合併・買収」と訳されます。 事業承継におけるM&Aとは、後継者問題の解決を目的として、会社の経営権を他の会社に譲渡することです。
M&Aには、大きく分けて「合併」「株式譲渡」「事業譲渡」の3つの種類があります。

合併2つ以上の会社が、法律上の手続きを経て、1つの会社に統合されること
株式譲渡株主が保有する株式を、他の会社や個人に譲渡すること
事業譲渡会社が保有する事業の一部または全部を、他の会社に譲渡すること
M&Aは、中小企業庁がガイドラインなどで解説しているように、企業の成長戦略の一つとしても有効な手段です。後継者問題でお悩みの経営者の方で、M&Aをご検討される場合は、まずは専門家にご相談されることをおすすめします。

3. 事業承継の進め方 事業承継は、一朝一夕にできるものではなく、綿密な計画と準備、そして実行力が必要です。大きく分けて「準備段階」「後継者への引継ぎ」「事業承継の実行」の3つの段階を踏むことになります。

3.1 準備段階 事業承継をスムーズに進めるためには、入念な準備が欠かせません。

3.1.1 現状分析 まずは、現状を把握することから始めましょう。

経営状況の分析財務諸表などを用いて、売上や利益、キャッシュフローなどの現状を把握します。
事業内容の分析強みや弱み、機会や脅威などを分析し、今後の事業展開の可能性を探ります
経営資源の棚卸し人材、技術、ノウハウ、顧客情報、取引先など、事業を支える経営資源を洗い出します。
法律関係の確認会社法、税法、労働法など、事業承継に関連する法律や制度を確認します。
これらの分析結果を元に、事業承継の方向性を明確化していきます。

3.1.2 事業承継計画の作成 現状分析を踏まえ、具体的な事業承継計画を策定します。

事業承継の方法親族内承継、従業員への承継、M&Aなど、どの方法で事業承継を行うか決定します。
後継者の選定事業を承継する後継者を誰にするか決定します。
事業承継の時期いつ事業承継を行うか、具体的なスケジュールを決定します。
事業承継の内容事業の全部を承継するか、一部を承継するか決定します。
資金計画事業承継に必要な資金をどのように調達するか計画します。
リスク対策事業承継に伴うリスクを洗い出し、対策を検討します。
事業承継計画は、関係者間でしっかりと共有することが重要です。

3.1.3 事業承継でのPMI
icon
PMIとは、Post Merger Integrationの略で、M&A後の統合プロセスを指します。事業承継、特にM&Aによる事業承継においても、このPMIが重要となります。

統合計画の策定M&A後の統合プロセスをスムーズに進めるために、具体的な計画を立てます。
組織文化の融合前経営者と後継者、従業員間のコミュニケーションを密にし、企業文化の融合を図ります。
業務プロセス・システムの統合効率的な事業運営を目指し、業務プロセスやシステムの統合を行います。
従業員の雇用維持従業員の不安を払拭し、円滑な事業承継を実現するために、雇用維持に配慮します。
PMIを成功させるためには、綿密な計画と、関係者間のコミュニケーション、協力が不可欠です。

3.2 後継者への引継ぎ 後継者が円滑に事業を承継できるよう、計画的に引継ぎを進める必要があります。

3.2.1 経営ノウハウの伝承 長年培ってきた経営ノウハウを後継者に伝えるには、事業の継続的な成長に欠かせません。

OJT実際の業務を通して、実践的な知識やスキルを習得させます。
Off-JT研修やセミナーなどに参加させ、経営に必要な知識やスキルを体系的に学ばせます。
メンタリング後継者に対して、経験豊富な経営者が相談に乗ったり、アドバイスを行ったりすることで、経営者としての成長を支援します。
社内文書の整備経営理念や事業計画・業務マニュアルなど、後継者が必要とする情報を整理しアクセスしやすい状態にしておきます。
後継者の個性や能力、経験などに合わせて、効果的な方法を組み合わせることが重要です。

3.2.2 従業員への周知と理解 後継者がスムーズに業務を引き継ぐためには、従業員の理解と協力が不可欠です。

事業承継の目的や計画の説明会の実施従業員に対して、なぜ事業承継を行うのか、どのような計画で進めるのかを丁寧に説明します。
後継者と従業員との交流機会の創出懇親会や社員旅行などを開催し、後継者と従業員が互いに理解を深められる機会を設けます。
風通しの良い職場環境づくり/th>従業員が自由に意見や提案をできるような、風通しの良い職場環境を作ることで、後継者への協力を促します。
従業員が安心して働き続けられるよう、事業承継に関する不安や疑問を取り除くことが重要です。

3.2.3 後継者への一般的な引継ぎ期間 事業承継の引継ぎ期間は、事業規模や後継者の経験・能力によって異なりますが、一般的には3〜5年程度が目安とされています。

期間内容
1年目
  • 事業全体の流れの把握
  • 各部署の業務内容の理解
  • 従業員とのコミュニケーション
2~3年目
  • 一部業務の担当
  • 意思決定への参加
  • 経営者としての自覚と責任感の育成
3~5年目
  • 経営全般の責任者としての業務遂行
  • 事業承継後のビジョンの明確化
  • 関係者からの信頼獲得
ただし、これはあくまでも目安であり、状況に応じて柔軟に対応する必要があります。

3.3 事業承継の実行 綿密な準備と計画に基づき、いよいよ事業承継の実行に移ります。

3.3.1 株式譲渡 株式譲渡とは、会社の株式を後継者へ譲渡する方法です。

メリット 手続きが比較的簡単であること、後継者が経営権をスムーズに取得できることなどが挙げられます。

デメリット 株式の評価額によっては多額の資金が必要となること、後継者が株式を取得した後の経営責任が大きくなることなどが挙げられます。

後継者が資金を準備できるか、経営者としての責任を果たせるかなどを考慮する必要があります。

3.3.2 事業譲渡 事業譲渡とは、会社の事業の一部または全部を後継者へ譲渡する方法です。

メリット 事業を承継する側が、必要な資産や負債を選択できること、事業の承継と同時に事業の再編や整理ができることなどが挙げられます。

デメリット 手続きが複雑で時間がかかること、債権者からの同意を得る必要があることなどが挙げられます。

事業の選択と集中、事業の整理などを検討する場合に有効な方法です。これらの方法以外にも、合併や会社分割など、さまざまな事業承継の方法があります。

それぞれの方法にはメリット・デメリットがあるため、専門家のアドバイスを受けながら、自社の状況に最適な方法を選択することが重要です。

4. 事業承継にかかるコストと対策 事業承継には、様々なコストが発生します。事前に費用を把握し、適切な対策を講じることで、コストを抑え、スムーズな事業承継を実現することが可能です。

4.1 主なコスト 事業承継にかかるコストは、大きく分けて以下の3つに分類できます。

1税金関係費用
2専門家への報酬
3事業承継に伴う費用
それぞれ詳しく見ていきましょう。

4.1.1 税金関係費用 事業承継では、相続税や贈与税、所得税など、様々な税金が発生する可能性があります。特に、後継者が親族の場合、相続税対策は非常に重要です。事業承継税制の特例などを活用し、節税対策を検討する必要があります。

税目内容詳細
相続税 被相続人が死亡した際に、相続財産に対して課される税金 相続財産の評価額、相続人の数、続柄によって税率が異なります。
基礎控除額は「3,000万円+600万円×法定相続人の数」です。
贈与税 個人から個人へ財産を無償で譲り受けた際に、受贈者に課される税金 年間110万円の基礎控除があります。
暦年贈与、相続時精算課税制度、婚姻時特別控除など、様々な特例があります。

4.1.2 専門家への報酬

事業承継の手続きは複雑で、専門知識が必要となる場合がほとんどです。そのため、税理士、弁護士、司法書士、中小企業診断士などの専門家に依頼することが一般的です。

専門家への報酬は、手続きの内容や難易度によって異なりますが、高額になる場合もあるため、事前に見積もりを取り、しっかりと比較検討することが重要です。

専門家事業承継
税理士 相続税・贈与税の申告、事業承継税制の活用、納税対策など
弁護士 事業承継契約書の作成、遺言書の作成、遺産分割協議のサポートなど
司法書士 不動産登記、会社設立、商業登記など
中小企業診断士 事業承継計画の策定、事業評価、経営改善支援など

4.1.3 事業承継に伴う費用 事業承継に伴い、以下のような費用が発生する場合があります。

後継者への教育費用
従業員への退職金・慰労金
設備投資費用
借入金の返済費用
これらの費用は、事業承継の内容や規模によって大きく異なります。事前にしっかりと資金計画を立てておくことが重要です。

4.2 コストを抑えるための対策 事業承継にかかるコストを抑えるためには、以下のような対策が考えられます。

4.2.1 納税猶予制度の活用 事業承継に際して、一定の要件を満たす場合には、相続税や贈与税の納税を猶予または免除する制度があります。これらの制度を活用することで、納税資金の負担を軽減することができます。

制度名内容対象
事業承継税制 一定の要件を満たす事業承継について、相続税または贈与税の納税を猶予または免除する制度 非上場株式等を後継者に承継する場合など

4.2.2 助成金・補助金の活用 国や地方自治体では、事業承継を支援するために様々な助成金や補助金制度を設けています。これらの制度を活用することで、事業承継にかかるコストの一部を補助してもらうことができます。

5. 事業承継を成功させるためのポイント 事業承継を成功させるためには、以下のポイントを押さえることが重要です。

5.1 早期準備と計画性 事業承継は、短期的なプロジェクトではなく、長期的な視点に立った計画と準備が必要です。後継者の選定・育成・事業の棚卸し・承継スキームの検討など、早め早めに着手することでスムーズな事業承継を実現できます。

5.2 後継者とのコミュニケーション 後継者となる人物と経営理念やビジョン・事業に対する想いを共有し、深く理解してもらうことが重要です。密なコミュニケーションを通じて、信頼関係を築き、承継に対する不安や疑問を解消していきましょう。

5.3 従業員への透明性 事業承継は、従業員にとっても大きな影響を与える出来事です。承継プロセスや後継者について、従業員に丁寧に説明し理解と協力を得ることが円滑な事業承継に繋がります。透明性の高い情報公開を心がけましょう。

5.4 専門家の活用 事業承継には、法律、税務、財務など、専門的な知識が必要となる場面が数多く存在します。弁護士、税理士、金融機関などの専門家のアドバイスやサポートを受けることで、問題を未然に防ぎ、最適な方法で事業承継を進めることができます。

5.5 外部環境の変化への対応 現代社会は、技術革新、グローバル化、少子高齢化など、変化の激しい時代です。事業承継後も、企業が成長し続けるためには、外部環境の変化に対応できる柔軟性と対応力が求められます。市場調査や競合分析などを行い、時代の変化を捉えた事業計画を策定しましょう。

5.6 事業承継計画書の作成
icon
事業承継計画書は、事業承継のプロセス全体を可視化し、関係者間で情報を共有するための重要なツールです。以下の項目を盛り込むことで、より具体的で実行可能な計画書を作成することができます。
内容
事業承継の目的 なぜ事業承継を行うのか、その目的を明確化します。
後継者の選定基準 どのような人物を後継者として選定するのか、具体的な基準を定めます。
事業承継の方法 株式譲渡、事業譲渡など、どの方法で事業承継を行うのかを決定します。
事業承継のスケジュール いつまでにどのプロセスを完了させるのか、具体的なスケジュールを立てます。
事業承継にかかる費用 事業承継にかかる費用を試算し、資金計画を立てます。
リスク対策 事業承継に伴うリスクを洗い出し、具体的な対策を検討します。
これらのポイントを踏まえ、しっかりと準備を進めることで、事業を円滑に次世代へ引き継ぎ、企業の永続的な発展を実現することができるでしょう。

円滑な事業承継は、日本経済の活性化にも大きく貢献します。後継者が安心して事業を承継し、新たな時代を切り拓いていけるよう、積極的に取り組んでいきましょう。

6. 【FAQ】よくある質問 6.1 【FAQ】事業承継全般について

Q1. 事業承継はいつから始めればいいですか?

A. 事業承継は、早ければ早いほどスムーズに進みます。後継者の育成期間や、関係者への理解を得るための時間なども考慮すると、遅くとも5年~10年前から検討を始めるのがおすすめです。もちろん、会社の状況や後継者の状況によって適切な時期は異なりますので、専門家への相談も検討しましょう。

Q2. 事業承継にはどれくらいの費用がかかりますか?

A. 事業承継にかかる費用は、事業規模や承継方法、専門家への依頼の有無などによって大きく異なります。例えば、親族内承継の場合、贈与税や相続税が発生する可能性があり、その金額は数百万から数億円に及ぶこともあります。また、M&Aの場合は、仲介手数料やデューデリジェンス費用など、数百万円から数千万円の費用がかかるのが一般的です。

Q3. 事業承継の手続きを自分たちだけで行うことはできますか?

A. 事業承継の手続きは複雑で、専門的な知識が必要となる場合も多いため、専門家と連携しながら進めることが一般的です。税理士、弁護士、司法書士、中小企業診断士などの専門家に相談することで、手続きの負担を軽減できるだけでなく、税務上の優遇措置の活用など、より有利な条件で事業承継を進めることができる可能性があります。


6.2 【FAQ】後継者について

Q4. 後継者を誰にすれば良いか迷っています。どのように決めれば良いでしょうか?

A. 後継者の決定は、事業の将来を左右する重要な決断です。以下の要素を総合的に判断する必要があるでしょう。


・ 事業への熱意や経営能力
・ 従業員とのコミュニケーション能力
・ 事業承継後のビジョン
・ 年齢や健康状態

これらの要素を考慮し、時間をかけてじっくりと検討することが重要です。また、親族、従業員、社外の人材など、幅広い選択肢を検討し、それぞれのメリット・デメリットを比較検討することも大切です。

Q5. 後継者がまだ決まっていません。どのように探せば良いでしょうか?

A. 後継者が決まっていない場合、以下の方法で探すことができます。


・ 親族や従業員の中から適任者を探す
・ M&A仲介会社に相談する
・ 事業承継を支援する公的機関の制度を利用する

それぞれの方法にはメリット・デメリットがありますので、状況に合わせて最適な方法を選択する必要があります。


6.3 【FAQ】事業承継計画について

Q6. 事業承継計画はなぜ必要なのですか?

A. 事業承継計画を策定することで、以下のメリットがあります。

・ 承継プロセスを明確化し、円滑な事業承継を実現できる
・ 後継者へのスムーズな引継ぎを実現できる
・ 従業員の不安を解消し、企業の安定化を図れる
・ 金融機関からの融資を受けやすくなる
・ 税務上の優遇措置を受けやすくなる

Q7. 事業承継計画には、具体的にどのような内容を盛り込むべきですか?

A. 事業承継計画には、以下の内容を盛り込むことが一般的です。

【現状分析】会社の経営状況、財務状況、従業員状況などを分析します。
【承継の時期・方法】いつ、どのような方法で事業承継を行うかを決めます。
【後継者の選定・育成】後継者を誰にするか、どのように育成するかを明確にします。
【事業の将来展望】事業承継後、どのような事業展開を行っていくかを記述します。
【資金計画】事業承継に必要な資金をどのように調達するかを計画します。


6.4 【FAQ】コスト対策について

Q8. 事業承継にかかる税金にはどのようなものがありますか?

A. 事業承継に関連する主な税金は以下の通りです。

贈与税:後継者へ事業資産を贈与する場合に発生します。
相続税:経営者が亡くなった場合、相続財産に事業資産が含まれると発生します。

Q9. 事業承継にかかる税金を抑えるにはどのような方法がありますか?

A. 事業承継にかかる税金を抑えるためには、以下の制度の活用を検討しましょう。

納税猶予制度:事業承継時の贈与税・相続税の納税を猶予する制度です。
事業承継税制:一定の要件を満たす事業承継について、贈与税・相続税の負担を軽減する制度です。


7. まとめ 事業承継は、企業の存続と発展のために欠かせないプロセスです。後継者の選定から、引継ぎ、コスト対策まで、多岐にわたる準備と計画が必要です。

本記事では、事業承継の進め方について、後継者の選定、事業承継の手続き、コスト対策など、具体的な方法や注意点を解説しました。事業承継は、短期間で完了するものではなく、数年単位の時間をかけて、計画的に進めることが重要です。

本記事を参考にして、早め早めの準備を進め、円滑な事業承継を実現しましょう。


編集者の紹介

日下部 興靖

株式会社M&A PMI AGENT
代表取締役 日下部 興靖

上場企業のグループ会社の取締役を4社経験。M&A・PMI業務・経営再建業務などを10年経験し、多くの企業の業績改善を行ったPMIのエキスパート。3か月のPMIにて期首予算比で売上1.8倍、利益5倍などの実績を持つ。

メニュー